第5章 涙言葉
「…現実、か…少しも現実を見ていないのは癒芽の方ではないのか?
孤独が嫌いなのを言い訳にして、私の側に何時も居るじゃあないか
そうだろう?」
「…そんなの、…」
拳を強く握り唇を噛む。
あぁ、今も考えているんだろう…私ではなく癒芽の大切な人間、大切だった人間。
貴様の兄を…、貴方が居れば私はDIO様と居なくて済んだのに、貴方が居れば独りじゃあないのに…孤独なんかじゃあないのに、と。
私が殺した。
だから癒芽は私の事を憎んでいる。
寂しいだけで私と共に居る。
…では、私の気持ちはどうなるのだ?
どうでも良い…んだろう?
「ふざけるなよ…何故、私が貴様に、貴様みたいな下衆な人間にそんな事を言われなければいけない!?
貴様が居るから私は…俺は! 何も出来なくなる!
俺の気も知らずに何時も何時も何時も! 勝手な事を抜かすなよ!
どんな気持ちで俺は貴様の事を考えていると思っているんだ! このマヌケが!」
声を荒げて癒芽にぶつける言葉。
そんな事を言いたいんじゃあない、違うんだ、何故…俺…私は、こんな事を言ってしまうんだ。
涙を浮かべて癒芽は私を睨むが、その力が無く脱力した顔は…屍の様だった。
そんな顔で見ないでくれ。
そんな目で睨まないでくれ。
嫌だ…、癒芽でさえ…もう。