第12章 それ褒め言葉
戸締りを済ませると、荷物を持って家を出た。
「乗れよ」
「えっ…」
家の前に止まっていたのは、誰が見ても高級車と分かるような外国車。
傷なんか1つもなく、光沢がある。
「会長…何者…?」
「はぁ?今頃かよ」
「だ、だって…」
「あー、面倒くせェな。
あとで烈にでも聞け」
なんでもすぐ烈さんに頼る。
「星夜様、そろそろお時間が…」
「分かってる、美織、早く乗れ」
「あ、は、はい」
迫力に気圧され、慌てて返事をする。
様づけ?
本当何者ー!
「月本様、お荷物をお預かり致します」
「え?あ、いえ、私は大丈夫です。
ありがとうございます」
「左様でございますか。
では何かあればわたくしに何なりとお申し付けください」
黒い燕尾服を着た男性は、恭しく頭を下げた。