第10章 雨上がり
「忘れものは大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫だと思います。
けど送って貰うなんて悪いですよ」
今更ながら気が引ける。
「気にしなくても良いですよ。
僕が送りたいだけですから。
それに、もし帰り道で何かあったら星夜が黙ってませんからね」
と、苦笑する。
「会長が?」
「これ以上はタブーです」
シー…と人差し指を口に当て、片目を瞑る。
無自覚イケメンはこれだから困る。
それがどれだけ女子の心臓に悪いか、全く分かっていない。
「そのワンピース、似合ってますよ」
「あ、ありがとうございます」
いきなりの褒め言葉に顔が熱くなる。
「個人的に好きですよ。
その人に似合っているし、女性らしくて」
「そんなこと言われると流石に照れます」