第8章 雨と幸運
図書館まであと数100メートルまで迫った時。
ゴロゴロ…。
「!」
雷のような音が轟いた。
「嘘でしょ…?」
雷の音ばかり警戒していたら、いきなり頬に水滴が触れ、肩が大きく跳ねた。
「ひゃ…」
雨まで降って来た⁉︎
図書館なんて目と鼻の先なのに。
徐々に近づいて来る雷、降り出した雨。
すると不意に雨が止んだ。
私のところだけ。
不思議に思い、上を見上げる。
「大丈夫ですか?」
黒色の傘を差した烈さんが、私をその中に入れてくれていた。
「あ、ありがとうございます」
「服濡れちゃってるね」
ジッと見つめられて、今日の服装が変じゃないか急に不安になる。
「うちこの近くですけど、寄って行きます?
髪とか服乾かさないと風邪ひくし、どのみちこの雨じゃ帰れないでしょう」
…確かに。
「でも…迷惑じゃないですか?」
「迷惑だったら誘いませんよ」
と、優しく微笑む。