第19章 能ある鷹は爪を隠す
情事後、星夜さんは私のお腹に出された白濁の液体をティッシュで拭うとゴミ箱に捨てた。
部屋に漂う青くさい匂いを消す為に窓を開け、換気した。
私に服を着せると、紅茶まで入れてくれた。
「ありがとう」
「別に、気にすんな」
身体を起こし、湯気の立つ紅茶にミルクを入れ、口に運ぶ。
「あち...」
程良い甘さと、温かさが身体に広がる。
「仕事しなきゃ...てて」
ソファーから立ち上がると、ズキリと腰が軋んだ。
「寝てろ」
「え、でも、仕事が...期限が...」
「俺がやってやる、だから寝てろ」
「星夜さん、書類出来るんですか?」
今まで仕事をしているところを全くと言って良い程見たことがない。
「当たり前だろ。
だから大人しく寝てろ」
ソファーに再び寝かされた。
「じゃあお願いするね」
書類をお願いすると、ソファーに体重を預けた。
瞼が重くなり、身体がフワフワする。
「寝ても良いぞ。
多分、お前が起きる頃には終わってるから」
「ありがとう。
そうさせて貰うね」
「あぁ、おやすみ」
「おやすみなさい」
ペンを握る星夜さんを視界に入れると、ゆっくりと目を閉じた。