第15章 教えてあげましょうか
前を歩く烈さんに着いて行く。
あれ…?
いつもならペースを合わせて歩いてくれるのに。
どうしたんだろう?
「ここまで来れば大丈夫でしょう」
「はい、すみません…」
人気のない部屋に来ていた。
「ここは…?」
「準備室です」
「生徒が入っても大丈夫なんですか…?」
「バレなければ問題ありませんよ」
なんか、星夜さんみたいな考え方だな。
烈さんにしては珍しいというか。
「ところでなんの用事だったんですか?
わざわざ教室まで」
「ごめんなさい、迷惑でしたよね…。
すぐ帰りますから!」
イライラしている様子。
「これ…弓道部の予算表です。
星夜さんが烈さんに届けるようにって…」
「あいつが?」
「はい」
「…それはわざわざありがとうございます」
書類を受け取り、内容を確認している。
「じゃあ私は用事が済んだので戻りますね!
急にすみませんでした」
そう言って足早に準備室から去ろうとした。