第3章 ヴァリアーでの初任務
静かな廊下だ。
カツカツと2人の足音しか聞こえない。
(…地図で黒く塗りつぶされてたのはここらへんだな…)
頭の中で見せてもらった地図を思い浮かべる。
「ふふっ、この屋敷がそんなに珍しいかい?」
(しまった…キョロキョロしすぎた…!)
『あ、申し訳ございません…!
その、こんな大きなお屋敷はじめて入ったので…』
ヴァリアーもこんくらいあるし。
ていうかヴァリアーの方が広いと思うし!!
『…私達は今どこへ向かっておられるのですか?』
少し探りを入れようと思った。
「ん?僕の部屋さ…
特別な人しか入れない、ね?」
『嬉しいです…』
まんまと引っかかってやんの。
でもこの様子だと地下に向かってるわけではないな〜…まぁでも私が時間稼げればみんな調べられるし…
この人気絶させれば私も問題ないし。
「ここだよ。」
大きなドアの前で立ち止まり、ドアが開かれた。
『…広いお部屋ですね…』
「まぁね。ほら、そこに座って?」
そう言って彼の視線の先には大きなベットが…
(……救えない男ね…)
でも絶対そういうことはしたくないし、できるだけ時間を稼ぐか…
『あの…私その、したことなくて…』
「大丈夫、優しくしてあげるから。心配しないで?」
『さ、先にお風呂…』
「必要ないよ。」
(ま、待って待って来ないで…!!)
殴る?殴り飛ばしていいかな?
今気絶させても大丈夫だよね!?
トントン…
「…ちっ、誰だ。」
ファンが背を向けてドアへ歩き出した。
(…た、助かった…)
「なに…!?あぁ、わかった…
、少し待っていてくれるかな…?」
(こりゃ好都合。)
『えぇ、もちろん。』
「すまない。すぐ戻る。」
パタンとドアがしまった。