第1章 動き始める
『スク、さすがにもう苦しいよ…』
私がそう言うと、スクは腕をといてくれた。
あ、やっぱり目が赤くなってる。
「……10年前のお前はいくつだ…?」
ようやく決心がついたかな?
『う〜んとね、16歳だよ。』
「…フランと同じくらいか…」
『手出しちゃだめだよ。』
「ったりめぇだっ!!!!」
『ならよかった~!』
ケラケラと笑う。
そうするとスクもちょっと笑ってくれた。
スクの部屋に入っていろんな話をした。
「10年前のお前はここに来てまず最初何する?」
『え〜…なんだろうなぁ…
たぶん目の前にいた人に襲いかかると思う。』
「…ずいぶん物騒なガキだな…」
『うん。気をつけてね〜。みんなにも言っておいて。でもたぶん返り討ちにさせられちゃうのがオチかな〜…』
たぶんそうだと思う。
子供だから。
「…そろそろ飯の時間だな。」
『あ、ほんとだ。今度こそ早く行かないと。』
立ち上がって廊下に出る。
「………」
『ん〜?』
「……愛してるぜぇ…」
真っ赤な顔で、彼がそう言ったものだから、私も少し照れる。
『ふふっ…私も…』
“愛してる”そう言おうとした時だった。
身体が宙に浮く感じがして、『あぁ、もう時間なのかな』そう思った。