第3章 私のヒーロー【チョロ松】
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仕事を始めて初めての休日。
私は一週間頑張った自分へのご褒美で街に買い物に来ていた。
お腹が空いたのでそろそろお昼を食べようと、予め調べておいたカフェへ向かった。
カフェに着くと道路を挟んで向かいに人だかりができていた。
何だろうと思って目を凝らすと橋本にゃーの看板が見えた。
どうやらイベントが行われている様で、グッズ販売コーナーらしきテントが並んでいる。
なんとなくその人混みを眺めているとその中に見覚えのある顔を見つけて思わず声をかけた。
「チョロ松くーん!」
すると彼は少し慌てた様子でこちらを振り返るとにっこり微笑んで手を振り返してくれた。
そして左右をきょろきょろと見渡すと、近くの横断歩道を渡ってこちらにやって来た。
「ちゃん、こんにちは」
「こんにちは、こんなところで会うなんて奇遇だね?」
「ぼ、僕は見ての通りなんだけどちゃんはどうしてここに?」
「うん、自分のご褒美に買い物に・・・私、今からこのカフェでお昼なんだけど良かったら一緒にどう?」
「え!?いいの?」
「うん、もちろん!」
そうして私たちはお昼を一緒にすることになった。
私達はカフェに入ると案内された窓際の木漏れ日の当たるいい雰囲気の席に座る。
「チョロ松君、橋本にゃーちゃんのファンなんだね?」
「え、えっと・・・うん」
赤くなるチョロ松君。
恥ずかしいと思っているのかな?
あの真面目なチョロ松君がアイドルのファンだと言うのは意外だったけど、こういう可愛い処もあるんだと、少し親しみを覚えた。
それを素直に伝える。
すると今度はパーッと表情が明るくなって、橋本にゃーちゃんについて語り始めた。
私は慌ててメニューを目の前に広げる。
「あ、待って!チョロ松君、語るのは注文済ませてからにしよう?」
注文を終えると、遮ってしまった話の続きを促した。
活き活きとしたチョロ松君はさっき買ってきたであろうグッズを一つ一つ大きな紙袋から出しては説明したり、お気に入りのポイントを語ってくれた。
仕事の時と同じくらい一生懸命なチョロ松君に思わずクスリと笑った。
するとチョロ松君はまた、頬を染めて頭を掻いた。
何だかチョロ松君って可愛いな・・・
仕事で疲れていた心が洗われた気がする!