第2章 君を守る【カラ松】
カラ松side
大事な後輩。
そんな感覚が邪魔をして今まで気づけないでいた自分の気持ち。
今までこんな経験がなかった俺は正直戸惑っていた。
にもらったクッキー。
たまたま、俺のだけピンク色のハートのクッキーが入っていた。
を気に入っている兄弟たちの間でそのピンクのハートのクッキーの取り合いが始まった。
何だか心がざわついた。
気が付いたら必死にそのクッキーを守っていた。
クッキーは取られる前に自分の口に放り込んだ。
もう少しゆっくり味わいたかったが、おかげで守ることができた。
その後、クッキー争奪でかいた汗をいつものように銭湯で流し終え、帰っている時おそ松がニヤニヤしながら俺に近づいてきた。
「なんだよ、おそ松。その顔は」
俺は肩を組んでくるおそ松から逃げるようにのけぞる。
だけど、無理やり肩を組まれこそこそと話してきた。
「カラ松、お前さぁ、ちゃんのこと好きなの?」
「はぁ?」
俺は予想だにしない質問に間抜けな声をあげた。
「じゃあ、あのクッキー俺にくれてもよかったのに~」
おそ松は口をとがらせて言う。
確かに・・・なぜ俺はあんなにムキになったんだろう?
今更ながら、おそ松の言う通りだとあの時の自分の心境がよくわからなかった。
すると、おそ松が何かを思いついたように左の掌に右の拳をポンッと打ち付けじゃあさ!と表情を明るくする。
「俺がちゃんと付き合っちゃおう!いいだろ?でさ、カラ松がキューピット役やってよ!!」
また、胸のあたりがざわつく。
きゅーっと苦しくなる。
この感覚は何だろうかと胸のあたりを押さえて考え込んでいると耳元で叫ばれた。
「おーーーい!カラまぁーーーつ?」
「え!?あ、すまん・・・」
「聞いてた?キューピット?」
「す、すまん。それはできん」
なぜ断ったのか自分でもわからなかった。
おそ松も、好きじゃないなら別にいいじゃんとブツブツ文句を言いながらスタスタと先を行ってしまった。
あれからずっと考えていた。
この胸のざわめきと痛み。
その正体はすぐにわかることになる。