第2章 君を守る【カラ松】
カラ松先輩は、はにかむと空に視線を移し、続けた。
「お前は、俺の心を読んでいるんじゃないかというくらいベストなタイミングでお茶やタオルを持ってきてくれる。他の部員のサポートも舞台の備品、衣装造りもテキパキこなしてたからすごいなと思っていつも見ていた。」
「そ、そんな・・・でも、そう言っていただけて嬉しいです。」
嬉しくて太ももの上の手にきゅっと力が入って口元が緩むのを感じた。
その手をカラ松先輩の大きな手が覆う。
驚きと恥ずかしさで硬直してしまう。
それを知ってか知らずか、カラ松先輩は私の手を握る為に必然的に近くなった体をそのまま話し出す。
「そんなお前だから演劇に挑戦してみて欲しい、今度は俺が支えてやろうと思っていた・・・だが、お前が苦しんでいることに気づくのが遅すぎた」
私の手を握るカラ松先輩の手に力が入るのを感じた。
「今度こそ、何があっても俺が守ってやる」
力強く、だけど静かに、色気のある低い声音で耳元で言われ、ドキッとして反射的にカラ松先輩の方へ振り返った。
カラ松先輩と目が合う。
目力のある瞳に射抜かれたように硬直して動けなくなった。
徐々に近づいて来るカラ松先輩が見えているのに、思考が停止してその時は何も考えられなかった。
そして、先輩との距離が0になった。