第2章 君を守る【カラ松】
気が付いた時には目の前と俺の下に見張り役の二人が伸びていた。
どうやら俺は制服から出したパーカーを十四松に攫まれ、階段上まで引っ張っていかれた挙句、見張り役の一人めがけて投げ飛ばされたらしい。
俺の後頭部が顔面に直撃したのか鼻から痛々しく出血していた。
もう一人は頭から出血していた。
言わずもがな、バットで一撃だったようだ。
さしずめ俺は十四松の武器。
こいつ、覚えとけよ・・・
俺たちは見張り役の二人を物置と化した教室へ運び、そこにあったロープとガムテープでぐるぐる巻きにした。
十四松にぐるぐる巻きにされた方に少し同情しつつ目的の開かずの間へ向かった。
開かずの間の扉を少し透かす。
すると中から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
???「お願い・・・これ以上は、や・・・やめてぇ、ひっく」
恐怖で震えてはいるがそれは間違いなくの声だった。
他と変わらぬ笑顔で俺に話しかけてくれた、不愛想に返事しても見捨てたりしなかったが愛しい。
たとえあいつのことを思っていたとしてもそれは変わらない。
そんな彼女が今・・・
そんなことを考えていたら俺の中の何かがぷつんと音を立てた。
そして、俺はすっくと立ちあがる。
そんな俺の心中を察したのかは分からないけど十四松が小声で俺を覗き込んだ。
十四松「一松兄さん、大丈夫?」
と同時に携帯が震えた。
俺はびくりと肩を震わせ、慌てて電話に出た。
おそ松兄さんだった。
おそ松「一松・・・押さえろよ?」
なんかむかつくけど、二人のおかげで正気に戻れた。
今は俺がしっかりして一刻も早くを助け出さなくちゃ。
「は?何を?今から入るとこだから邪魔しないでよね。」
おそ松「あぁ、わりぃわりぃ。もうすぐ着くからよろしく~」
電話を切って、カメラモードに切り替える。
俺は意を決して開かずの間に足を踏み入れた。