第2章 君を守る【カラ松】
side
今朝、靴を汚してしまった。
なんて・・・本当は嘘だって言ってしまいたかった。
でも、優しいカラ松先輩は本当のことを知ったらとても悲しむだろうな。
そう思うといえなかった。
昨日、ステージから落ちたとき、ステージの上に見たものは気のせいではなかったことを今日、部活に行って思い知らされた。
部室に行くと先輩が三人、私を待っていた。
ヒロイン役の加藤先輩と三男の騎士の恋人役、立花先輩と私がステージから落ちた時ぶつかった如月先輩。
この三人は仲がいいらしくいつも一緒にいる。
加藤「よく来れたわね、さん。あなたに話があるの」
「こんにちは。あの、私に話って・・・?」
”よく来れたわね”この言葉が引っ掛かった。
立花「単刀直入に言うわね?あなたがクレア役なことに不満があるの」
あぁ、そういうことか。
やはり、あの時ステージの上で笑っていたような気がしたのは気のせいではなかった。
この人たちは私に嫌がらせをして引きずりおろしたいんだ。
でも、引き下がれなかった。
カラ松先輩の恋人役がしたいからとかじゃない。
演劇をやり始めてまだ日は浅いけど、演劇の楽しさがわかってきた。
もっとやりたいと思う。
それに、昨日カラ松先輩が言ってくれた。
適任だと。
カラ松先輩や柚木先生の期待にこたえたい。
与えられたチャンス。
全力でぶつかってみたい。
私は、先輩たちを見据え、はっきりと答えた。
「演者の皆さんには悪いと思っています。でも、私も皆さんと同じく舞台を成功させるために本気でやっています。遊びでやってるわけじゃありません。何があっても頂いた役を全力でやり抜きます。」
先輩たちは一瞬驚いたように目を見開いた。
加藤「そう、あなたがその気ならそれでもいいわ。でもね、あなたは裏方。それに変わりはないのよ。これまで通り、裏方の仕事もやってもらうわ!」
如月「もし、手を抜くようなことがあったら大切な舞台がどんなことになるか・・・クスクス」
立花「責任重大ね?あはははは!!」
せいぜい頑張ってと、ひらひらと手を振り三人は部室を後にした。
だけど、嫌がらせは終わっていなかった。