第3章 想い

（あー……ねみぃ…）
眠い目をこすりながらキッチンの扉を開けるサンジ。
眠りたくてもレナの感触が腕に残ったままで…何度も思い出してしまって眠れなかったのだ。
あのまま抱きしめられたら、と思ってしまう自分に、なぜそう思うのかと問いかける、その繰り返しだった。

ナミやロビンには抱いたことのない気持ちだということはわかっていたが、それが何なのか、未だにわからなかった。

朝食の準備をしていると、キッチンの扉が開いた。
「おはよう」
レナの声だった。
サンジは自分の心臓が跳ねた気がしたが、気づかないフリをした。
「おはよう、レナちゃん」
始めの頃はなぜか気恥ずかしくて呼べなかったが、最近ようやく呼べるようになった名前を呼んだ。

「あの…昨日はありがとう」
自分が驚かしてしまったのが悪いと思ったが、サンジは昨日のことに触れるのを躊躇った。
「…あれからよく眠れたかい？」
（まぁ、俺は眠れなかったんだが）

「…まぁまぁ…かな。サンジは？」
「俺も…まぁまぁだな」
レナの事を考えていて眠れなかったとは言えない。

あくびをしながら朝食の準備を続けた。
すると、いつもは手伝うことはないかきいてくるレナが、何も言わずに手伝ってくれた。

（…新婚みてぇだな……って違う違う何考えてんだ俺は）
頭に浮かんだことをすぐさま否定し、たまには手伝ってもらおうと、何も言わずに任せることにした。