第3章 想い
サンジは夜遅く、1人で風呂に入っていた。
仕込みを終えたあと、椅子に座ったままうたた寝をしてしったためにこんな時間になってしまった。
(ふぅ…)
湯船につかりながら、ふと頭に浮かんだのはレナの顔だった。
サンジはぶんぶんと頭を振った。
(違う違う、なんでレナちゃんの顔だけ浮かぶんだよ!俺はナミさんもロビンちゃんも好きなんだよ!)
サンジは相変わらずレナには本領発揮できずにいた。
なぜレナには他の女性と同じような扱いができないのか、サンジにはその理由がわからなかった。
(まさか……恋??いやいや違う違う違う、俺は世の中の全てのレディに恋してるんだ)
サンジは大真面目に考えていた。
風呂から上がったサンジは、キッチンの電気がついていることに気づいた。
(あれ?さっき消したと思ったんだが)
消し忘れたかと思いながら、キッチンの扉を開けた。
トン、とぶつかったのはレナだった。
レナは後ろによろめいてこけそうになる。
サンジは考えるより早く、レナを抱きとめた。
「悪りぃ…電気を消し忘れちまったのかと思って…大丈夫かい?」
レナの体は細くて柔らかかった。
このまま抱き締めたい衝動に駆られた。
しばらく動けずにいると、
「ごっごめんなさい」
レナがサンジの手を払いのけて行ってしまった。
サンジは自分の腕を見つめていた。
レナに手を払いのけられたことに、寂しさのようなもどかしさのような、よくわからないものを感じていた。
(レナちゃん…)
さっきまで自分の腕の中にいた、レナの感触を思い出していた。
(はっ!!俺としたことが…なんでこんな格好!)
サンジは上半身裸に、ハーフパンツ姿だった。
(…もっと気の利いた言葉でも言えねぇのか俺は)
サンジは、自分の中に初めてあらわれたこの感情が何なのかわからないまま、キッチンを出て寝室に向かった。