第1章 出会い ★
明日の仕込みを終えたサンジは、甲板に出てタバコを吸っていた。
(今日の俺はクソッタレだったが!!明日は!!必ずレナちゃんにラブコールする!!あれじゃただの無愛想野郎だ)
「あの…こんばんは」
この声はまさか…ゆっくりと振り返ると、レナが立っていた。
(立ってるところも綺麗だ!!褒めたい!!褒めたいのになぜ言葉が出て来ない俺!!)
「あぁ…どうしたの?こんな時間に」
(ちっがーう!こんなことを言いたいんじゃねぇ!手を取って「こんな時間にどうしたんですかプリンセス」だ!!)
「外の風に当たりたくて…あの…サンジさん、ご飯、ごちそうさまでした。とってもおいしかったです」
(レナちゃんが…俺を…褒めたーーー!!)
「サンジでいいよ。俺は一応この船のコックだからな。1人分増えたところで朝飯前さ」
(ここは笑って「ありがとう、プリンセス」だろうがー!!どうしちまったんだ俺!)
「明日の朝、食堂で待ってるよ」
なぜだか逃げ出したい気持ちになり、そう言ってサンジはキッチンへと戻った。
よくわからないこの気持ち。初めての感情。
キッチンに戻ったサンジは、1人、ずーんと落ち込んでいた。
(もっとお喋りしたかったのに…!!!)
この感情がなんなのかわからないまま、サンジは休むため男部屋へと向かって行った。