第1章 明暗
「つってもなぁ…そんな状態で歩かせるわけいなかいでしょうが。」
「でも…」
折角の花火大会なんだから、どうしても見ていきたい。彼と一緒なら、なおさら見たい。私の言い淀む様子をどう受け取ったのか、彼はうーん、と唸ってからじゃあ、と口を開いた。
「じゃあ、こうしよう。は花火が見たいんだよね。なら、やっぱり帰ろう」
「え!?あの…」
「大丈夫、花火なら見れるよ」
「え…?」
戸惑う私を急かすように、ほら、とまた背中を向けた。乗れってことなんだろう。でも、今の言葉、どういう意味…?
少し戸惑いながらも彼の肩に手を置いて軽く体重をかけると、ひょいと彼は抱き上げてくれた。
「ひゃあ!」
「よっ……と。
ん…お前太った?」
「!?ふ、太ってません!」
多分、と心の中で付け足すと、彼は朗らかに笑った。