• テキストサイズ

SUMMER DAY!!

第1章 明暗




それから数分して、彼は来てくれた。夜景を背負うように私の顔を覗き込んだ彼に慌てて謝ると、なんで謝るの、と笑われた。

「ごめんね、さっきは。足大丈夫?痛いよね」

「いえ…私こそすみません。足は…えと、」

親指と人差し指の間の皮は剥けて、擦れるだけで痛みを感じる。けど、そう言ったら彼は間違いなく帰ろうと言うだろう。
嫌だ。
まだ帰りたくない。もう少し、この人と一緒にー……

そんな私の願いはすぐに崩された。というのも、彼がいち早く私の足の状態に気がついたからなのだが。

「うわ!すごい赤いじゃん!なんでこんなになるまで言わなかったの」

「す、すみません…」

気まずくて少し目を伏せると、彼はため息をついて私の前へかがみ込んだ。

「ほら」

「?」

「おんぶするから。…帰るよ」

「で、でもまだ花火が…」

花火が打ち上がるのは八時から。今はまだ七時を過ぎたばかりだから、あと一時間ほどある。


/ 8ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp