第13章 ランチタイム・クラッシュ
◆◇伊織視点
「うらあああああああああっ!!」
「”パン”は俺達柔道部のモンだあああああああっ!!」
「絶対手に入れてインハイで優勝すっぞおおおおおおおっ!!」
……私の知らない、昼の校内景色がそこにあった。
遙か彼方のパン売り場に群がる人、人、人……。
男子も女子も一様に群がっている。
おまけにがたいのいい男子生徒ばかりが目立ち、購買部は戦場と化していた。
「ひっ…!!?」
案の定、紗綾は私の背中にしがみついて離れようとしなかった。
「……何なの、これ」
とりあえず罵声怒声何でもありの危険地帯から離れた場所で状況を見守ることにする。
とてもではないが、女子2人があの群衆の中を書き分けて適当なパンを買うなんてことは神業以外にあり得ない。
そこで、私たちはオリエンテーションの時に先輩が言った言葉の意味を初めて理解した。
(すごいところに来ちゃったかなー……)