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君が笑う、その時まで

第6章 帰り道 (黒子視点)


 曲がり角が近づき、僕たちが別れるのも時間の問題と思われた時に、火神君は不意に口を開きました。

「――そういや、テメェはアイツのことどう思った?」

「アイツ……ですか」

 思い当たるのはひとりしかいません。けれども僕は敢えて何も言わず火神君の反応を見ることにしました。

「ムカつくヤローだぜ。バスケのこと何も知らねぇくせにバカにしやがって…」

「………………………。」

 火神君の反応は至極当然です。むしろ真っ当すぎてかける言葉が見つかりません。

 火神君をはじめとして、バスケ部の皆さんに対する印象づけは最悪でした。勿論、バスケを遊びに括り、火神君をあそこまで貶めるのはさすがにやり過ぎです。

 けれどもこれだけは言っておかなくてはなりませんね。

「それは誤解です」

「はっ!?」

「彼女はバスケを知らないわけではありません。むしろ知っているからこそ、あんな風になってしまったんです――」

 僕は知っている。
 彼女の、バスケに対する思いはあんなものではないと。
 
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