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君が笑う、その時まで

第31章 Let's試食会


 黒子の必死の嘆願に断り切れず、結局何かあったら呼びに来るという条件で教室に待機することになった。

 手持ち無沙汰に困るわけでも無く長期休暇の課題をこなしていると、程なくして教室のドアがガラッと開いた。

黒「すみません。早速ですが来てください」

 思ったよりも早い召集となった。
 私は解きかけの問題をそのままにして呼びに来た黒子のあとをついて行った。

 ……その結果が先の状況である。

伊「黒子か…?今までどこにいたんだ――って、」

 その中のひとりであるサラサラ髪の男子生徒が黒子の後ろにいた私に気付き、ゆっくりと上体を起こしてきた。

伊「あれ…その子ってまさか」
土「ああ、いつかの…」
コガ「確か……誰だっけ?」

 にわかにざわつき始めた人々の間を縫い、私は調理台でひとりわびしく寸道鍋を掻き回す女子生徒の隣に立った。

 鍋の中を見て、言葉を失った。

伊織「……これはひどい」
リ「え…どうしてあなたがここに――」
伊織「失礼します」
 相田先輩の言葉を遮り、皿にカレールーを盛り味見する。
 さまざまな風味が解け合い混じった、奇妙な味がした。
 確実に言えるのは、カレールーの味から遠く離れた味だと言う事くらいだろうか。

リ「もしかして…料理できたりする?」
伊織「別に大したことはできませんけど」
リ「いいからいいから!」

 あれよあれよと調理場を任された私は早速残りの材料でカレーを作ることになった。
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