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君が笑う、その時まで

第30章 誓い


黒「僕は伊織さんにも謝らなくちゃいけません」
伊織「私に?」

 何を謝るのだろう。見当が付かず、彼の言葉をじっと待つ。

黒「僕は青峰君に負けて僕自身のバスケが分からなくなっていました――」

 そして黒子は話してくれた。

 帝光時代ユニフォームをもらいベンチ入りしたこと、
 当時はキセキの世代に信頼されていたこと、
 キセキの世代が才能を開花させていくにつれ、信頼されなくなっていったこと、
 キセキの世代に火神君を利用して自分のバスケを認めさせようとしたこと。

黒「けれども誠凜バスケ部に入って、火神君と出会ってようやく気付きました

 僕は帝光中〈幻の六人目〉黒子テツヤではなく、誠凜高校1年黒子テツヤとして皆と一緒に日本一を目指します!!」

 そう言って黒子は私の前に拳を突き出した。
 
黒子「もう一度約束させてください。僕は好きなバスケから逃げない、そして皆と一緒に好きなバスケで勝ちます」

 彼の誓いを聞いて込み上げてくるものがあった。
 驚きと期待で今にもガンバレと声をかけたい衝動に駆られる。
 けれどもそれができない自分がいることも確かにある。
 
 そんな私にせめてもの勇気があるとすれば――

伊織「……本当に強くなったね、君は」
 黒子に気付かれないように呟いて私はゆっくりと腕を伸ばした。

伊織「それじゃあ見せてみなよ、君たちのバスケを」
黒「はい!」

 私たちは互いに拳を突き合わせた。
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