• テキストサイズ

君が笑う、その時まで

第26章 逃げ足とメガネ


 部室棟から体育館へ向かう途中、私は奇妙な光景に出くわした。

 体育館の格子窓から屋内を窺う、不審な人陰。

 一瞬不審者!?なんてどぎまぎしたけど、よく見ればそれは肩から大きめのボストンバッグを提げた制服姿の女の子だった。

 よほど誰かに見つかりたくないらしく、わざわざ体育倉庫の陰に隠れて屋内を覗き込んでいる。

 
(あれは確か誠凜の制服…。今更敵情視察かしら?)


 私は恐る恐るその子に近づいた。


桃「あ、あの……」
?「ッ!?」

 声をかけた刹那、その子は驚いたように肩を震わせ一目散に逃げてしまった。

桃「……何なの?」

 面識の無い私に声をかけられたから慌てて逃げたんだろうけど。

 それにしては――ほんの一瞬だけ目があった時、なぜか初めて会った気がしなかった。
/ 204ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp