第24章 ラッキーアイテム
壁伝いにふらつく体を支えながら玄関へと向かう。
ダブルロックを解除し、全体重をかけてドアを前に押す。
伊織「はぁーい…て、」
やばい。そう思ったときには体は後ろに反らせないくらいに前傾していて、為す術なく前へ倒れていく。
痛みを覚悟して目を閉じる。
だが、いつになっても肝心の痛みを感じることはなかった。
?「大丈夫か?」
頭の上から優しい声が降ってきた。目を開けてゆっくりと顔を上げてみる。
眼鏡越しに覗く瞳は驚いたように見開いていた。
伊織「……緑間君?」
どうして緑間君がここにいるのだろう。かなり前に帰ったはずだと思っていたのに……。
けれども現実として彼は目の前にいて、私の肩を抱いてその体を受け止めている。
伊織「何でいるの……?」
緑「お前に渡すものがあって戻ってきたのだよ」
伊織「?」
私に渡すもの?何だろう。