第20章 既視感(緑間視点)
高「――なぁ、真ちゃん」
緑「何なのだよ」
チャリアカーを漕いでいた高尾が不意に口を開く。
高「伊織ちゃんに何話してたんだよ?」
緑「フン。お前には関係のない事なのだよ」
だがこれで簡単に食い下がるようなヤツではなかった。
高「えー?ちゃっかり下の名前呼び捨てにしたクセに『別に』とかねーって」
まったくコイツは……。相変わらず余計なことまで口を挟んでくる。
緑「…星座は何座かと訊いただけなのだよ」
高「へぇー?」
あいづちを打つ高尾の声は上擦っていた。
高「ホントは別のこと訊きたかったんじゃねぇの?」
緑「…………。」
その時、肩越しに覗いてきた高尾と目が合う。
たった一瞬で何かを察したようにニタニタと笑って。
高「あーあ。真ちゃん奥手だかんなー」
緑「うるさいのだよ!!」