第18章 変化
じゅー、じゅー、……。
伊織「ほっ」
ぺたん。生地を返すと周りから「おぉー」と声が上がった。
黒「上手ですね伊織さん」
黄「でしょー?」
黒「黄瀬君には訊いてません」
黄「黒子っちヒドッ!?」
火「なぁ、まだ焼けねぇのか?」
黄「どんだけ食いたいんスか火神っち!?」
伊織「んー、もうちょっと待って」
ソースを塗り、削り粉と青のりをまぶしていく。
伊織「マヨネーズは?」
火「おう、頼む」
最後にマヨネーズをかける。
火「うまそうだな」
黄「うまそうじゃなくて本当に美味しいッスよ!
あ。緑間っちも食べてみたらどうっスか?」
伊織「●●みたいなものでも食べるかい?(笑)」
緑「ぐっ……。前言撤回するのだよ」
そうこうしているうちに鉄板の上にあった二枚のお好み焼きはあっという間に育ち盛りの少年たちの胃袋に収まっていった。
緑「――にしてもなぜお前がここにいるのだよ黄瀬」
口についたソースを拭ったあと緑間君が黄瀬君の方を見やった。
黄「そりゃ緑間っちや黒子っちたちの試合を見に来たんスよー」
そういって笑う黄瀬君の顔を緑間君はなぜかまじまじと見ていた。
緑「……変わったな」
黄「え?」
緑「変わったのだよ。何というか――目が違うのだよ」
緑間君の言葉に私や黒子、火神君も思わず黄瀬君の顔を見やる。
言われた当人は目を丸くしていた。
「そうっスか?」
黄瀬君は不思議そうに首を傾げ、ふと何かを思いついたかのように「でも」と言葉をつぎ足した。
曰く、以前に比べてバスケが楽しくなった、と。
このメンバーで勝ちたい。そう思うようになってから海常での練習が満ち足りるようになった。そう言う彼の表情は曇りがなくて、いつか見た泣き顔と同様に偽りのない姿がそこにある。
こんなにも純粋で、輝いた表情を見るのはいつぶりだろう。
隣で見ていて、本当に――