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【落乱】花立つ人

第4章 リンスを忘れちゃいけません、の段。


「読者の皆様こんにちは、一年は組乱太郎です」
「きり丸でーす」
「しんべヱです!!!」
「しんべヱ、声でかい顔でかい!」
 しんべヱの鼻息の荒さにきり丸は思わずのけぞった。
「どうしたんだよしんべヱ、おやつでも食べそこねたのか?」
「ちがわい!! ぼくは今、とっっても怒っている!!」
「「……」」
 ちょっと顔が凛々しくなったように見えるけれど、しんべヱは怒っても全然怖くない。
「ま、まぁまぁしんべヱ…おちけつ…落ち着けって」
「これが落ち着いておらりょーか!! 『花立つ人』15ページ! ぼくはこの内容について抗議するっっ」

 しんべヱはビシィ!っとどこかに向けて指を刺すポーズを取った。
 その姿とセリフが普段からは考えられないほど格好いいので、乱太郎ときり丸は思わず拍手した。

「わ! しんべヱ格好いい!!」
「え、そ、そう??」

 デヘヘ~とすぐさま顔がへにゃり、キリッとした顔は五秒と持たなかった。

「それで? 15ページ?」
 きり丸はすまほを取り出し(うそやで~)、『花立つ人』を確認した。
「あ、これかぁ。しんべヱが火薬庫をふっとばしたことになってるんだな」
「そうなの。でもぼくはふっとばしてないんだよ」
「危うく吹っ飛びかけたときはあったがな」
「「「土井先生!」」」
 突然現れた土井先生に三人は声をあげた。
「作者が巻数を忘れたからいつだったかはわからないが、火薬庫に灯りを持ち込んだのは確かだぞ、しんべヱ」
「ご、ごめんなさい~」
「吹っ飛ばしたのは、前火薬委員会の人だったんですよね?」
「そうだ。火器を扱うのが得意な生徒が火薬委員だったんだが…火種を持ち歩く生徒が多くてな。一度、それが引火して大爆発したんだ」
 それ以来、火薬委員は絶対に火器を得意とする生徒を選出しない、と決まっているのである。

「じゃあ濡れ衣じゃねぇか」
 きり丸が怒って唇をひんまげたところで、しんべヱが挙手する。
「あのね、えっとね、ぼくがふっとばしたのは忍術学園の火薬庫じゃなくてね」
「「「はい?」」」
 じゃあ何をふっとばしたんだ、と三人はしんべヱの次の言葉を待つ。

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