第9章 友情と愛情
「あのね」
口を開くと甘えたような声が出た。
顔を上げた景吾はいつもより少し幼く見えた。
息を吸ってもう一度あのね、と言った。
「私、もしも、景吾に出逢う前、に長太郎か若と付き合ってたとしても、景吾のこと、見つけたと思う」
真っ直ぐアイスブルーの瞳を見つめる。不安げな瞳は少し揺れている。綺麗。
「そんなの、わかんねぇだろ」
「解るよ」
景吾を見据えたまま、私は被せ気味に答えた。
解るよ、だって私は景吾を見つけたから。
「私の心を引っ掻くのは、乱すのは、景吾だもん」
景吾は黙って私を見つめる。
「満たすのも、景吾だけだよ」
さっきとは打って変わって優しく抱擁される。
「お前は、俺のだろ」
「うん、そうだよ。誰に何をされても、私に本当に触れるのは、景吾だけだよ」
景吾の香水は、私程じゃないけど、甘い。
目を閉じて背中に手を回し、ぽんぽんと撫でた。
もたれるように抱きしめられて、心も温かくなる。
愛してる。