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【テニスの王子様】王様と私【跡部景吾裏夢】

第9章 友情と愛情



「おい」

本日2回目の、愛する人の怒りに満ちた声。さっきと比べて音量が小さいけれど、その一言でも怒っているのが解る。

顔を出して若の肩越しに扉を見やると、景吾の顔が般若になっていた。

対して私は机に腰掛け、目の前に若が立っているため情事の最中に見えなくもない。さっきの手は通用しないだろう。

「跡部さん」

若が振り返る。

「若、お前」

「こいつのこと、大事にしてくださいね」

景吾の方を向いているので、私からは若の表情は確認できない。

ただ、景吾の般若な表情が少しだけ和らぐのが解った。

「言われなくてもそのつもりだ」

景吾の言葉にどきりとする。

若が逃げ出すように生徒会室を出ていくと、景吾がカギをかけた。

お行儀悪く机に腰掛けたまま景吾を見ていると、ずかずかと私の目の前に立った。

若にキスされてしまったのを思い出して咄嗟に手の甲で唇をぬぐった。

景吾を汚してしまう気がして。

「け、ん、むぅ」

名前を呼ぶ隙もないまま景吾のキスを受け止める。

長太郎のキスでも若のキスでも、感じない、切ない気持ちに胸が押しつぶされそうになる。

キスの雨が止んで目をあけると、景吾はひどく傷ついたような顔をしていて、私は幼馴染に唇を許してしまったことを後悔した。

「ごめん…」

謝ると景吾が怒ったような、困ったような複雑な表情をした。

「お前は…何が悪いと思って謝ってんだ?」

呆れたような表情に落ち着いて、景吾が私を見た。

「景吾を、傷つけて、ごめん」

景吾の瞳がひらく。

はぁ、と大きくため息をついて、キスが再開された。

舌が入ってくる。温かくてやわらかいそれは私の口内を蹂躙する。

閉じていたはずの足はいつのまにか開かれ景吾がぴったり寄り添っていた。

体温を奪い合うように身体に触れて確かめ合う。

長いキスをしながら景吾が身体に触れていく。

「ふ、あ」

時折酸素を入れようを口を開くけれどすぐに景吾で満たされていく。

「んんあっ」

突然の刺激に声を上げると景吾が0距離で私を見つめた。

嬌声を上げたことに恥ずかしくなり、下唇を噛むと、それをそっと舌で開かせられる。
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