第1章 先輩と私
また首筋にキスが落ちる。
「ああぁっ」
「お前、首ホント弱いな…」
何時もより少し低い声。その声も、好き。
首に神経が集中しているみたいに気持ち良い。執拗に首を喰む景吾の髪に手を伸ばす。
サラサラして綺麗な茶髪。電気の光に透けて金髪みたい。
あ
「あ、やだ、景吾、電気消して!」
「めんどくせー」
「やだ、ちょっと、恥ずかしいじゃん、ねぇ」
手を伸ばすと両手を手首で掴まれ、ぐい、と頭の上に固定される。ほとんど動けない。
「見せろ」
「もう…!」
睨んで見ても彼には通用しない。
「その目、そそるな」
「バカ」
「俺様にバカなんて言うのも、お前くらいだな」
そのまままた身体中にキスを落とされる。
「ふっ…んっ…あっ…あっ…」
景吾がネクタイを緩める。何その仕草。死ぬほどかっこいい。
見つめると、景吾がまたニィ、と笑った。
「今、俺に見惚れたろ」
アイスブルーの瞳が意地悪そうに笑う。
「…ないしょ」
「ほう」
口元に笑みを浮かべ、企む顔をしている。
嫌な予感と期待が入り混じり、胸がきゅ、と締め付けられた。
緩めたネクタイは首からしゅるりと音を立て抜け、頭上で押さえつけられていた私の手首に巻かれた。
「あ、ちょ、ちょっと」
「あーん?少し…大人しくしてろ」
ご丁寧にソファのひじかけの外側に付いた荷物掛けに引っ掛けられている様で、固定されてしまった。
勢い良く引っ張ったらネクタイが千切れるだろうか。
景吾は両手が自由になったからか上機嫌に私の身体を撫で回す。温かくて大きな手にくすぐられる様に弄られ、うっとりとしたため息が出た。
太ももを撫でられ下半身が反射でぴくりと反応すると、面白がってそこばかりゆっくりと撫で回す。
「ちょっ…そんなっ….そこばっか…り…」
「もう我慢できねぇのか?」
顔に熱がのぼる。
「赤い顔も可愛いな」
ふ。と笑って頬を撫でられると甘い気持ちに支配されてしまう。
不意に景吾が下がり、太ももの内側に口付けた。
「あっ」
唇の熱に身体が戸惑う。
はむはむと動く唇の動きが快感を揺さぶる。
声を抑えたくても手が固定されているせいで難しい。
「ああ…っんっ」
「声出せ、どうせ防音だ」
「や…恥ずかしっ…から…」
「今更なこと言うな、まぁ、可愛いから良いけどな」