第9章 友情と愛情
「鳳!!!テメェ何してやがる!!」
怒りに満ちた、怒声に近い景吾の声に驚いたが長太郎が覆いかぶさっていたので姿は見えない。
長太郎が慌てて振り返る。
「跡部さん、オレ…「景吾、長太郎お腹痛いって!早く保健室連れてってあげて!私じゃ重くて運べないの!!」
咄嗟に叫ぶと、涙目の長太郎と私を見比べて景吾が訝しむ。
「景吾!」
私の剣幕に押され景吾がああ、と小さく返事をして「ホラ、人の女にいつまでもしがみついてんじゃねぇ」と言って長太郎に手を差し伸べた。
「あ、ありがとう、ございます」
長太郎が景吾お礼を述べたのを見て、ホッと息をついた。
「野薔薇、お前は生徒会室にいろ」
鍵を投げるように渡され慌ててキャッチした。
「うん?分かった」
引きずるように長太郎を連れて行く景吾に心の中で謝る。
ごめんね。心配させたくない。私には景吾だけだから。
そう思いながら。
あと、長太郎は余計なことを景吾に言いませんように。