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【テニスの王子様】王様と私【跡部景吾裏夢】

第6章 おはよう


向日さんと宍戸さんのダブルスは散々で、座った景吾が立ちあがるまでもなく終わった。

「やるじゃねぇか、野薔薇」

「景吾が足手まといにならなかったからね」

腰に手を当てて言うと、立ち上がって近寄った景吾に頬をむに、と引っ張られた。

「ほう、ずいぶん元気になったもんだな」

「うるひゃい、はなへ」

手を伸ばすけど、長さが足りないので景吾に届かない。

キャプテンが声をあげて笑う。練習中は皆が恐れる鬼のキャプテンも、笑うと本当に美しい。

忍足さんが隣で惚けているのを見て、なんだか嬉しくなった。

「おい、忍足、鼻の下伸びてるぞ」

景吾も気付いて笑う。

「うるさい!彼女が笑ってて可愛いんやから当たり前やろ!」

「恥ずかしいこと言うな!馬鹿!」

キャプテンからツッコミにしては激しくどつかれ忍足先輩がよろける。

「あーもう、どいつもこいつもいちゃいちゃしやがって!俺も彼女ほしいわ」

向日さんが悔しそうに忍足先輩におぶさった。

「岳人、重い」

「うるせー、俺に女の子紹介しろよ」

「いやや、俺恨まれたくないもん」

「どっちにだよ!?」

「そら言われへんなぁ」

景吾よりも低い声で笑う忍足さん。

女子には本当に人気だけど、キャプテン一筋。

「鳳、そろそろ打ちたいか?」

長太郎を見るとぼんやりと遠くを見ている。

「長太郎、お前打つかって、跡部が聞いてるぞ」

宍戸さんの声に長太郎がハッとした顔をした。

「はい、打ちます!」

作ったのが丸分かりの笑顔の長太郎が少し心配になる。宍戸さんも表情を曇らせた。

「おい、長太郎、体調悪いなら見ててもいいぞ」

「いえ、大丈夫ですよ。ありがとうございます、宍戸さん」

笑顔で返すけど、やっぱり長太郎が元気ないように見える。

いつの間にか隣に立っていた若が「あのバカ」と小さく言った。
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