第4章 どこにも行かないで
「…犯人、分かってるってさっき言ってたよね。明日には学校行くから、教えてよ」
意地の悪そうな笑い方。誰に似たんだよ。
「お前が殺人罪に問われるようなことしないって約束するならな」
「…」
不機嫌な顔をつくる野薔薇。
おい、殺す気だぞこいつ。
「…殺さないわよ、でも、どうしようかな。私結構頭にきてるのよ」
「ああ」
「景吾にあんな顔させるなんて、絶対に許さない」
「あん?なんて言った?」
呟く様な声に聞き返すと、ううん、なんでもない、と言った。
聞き返したが、聞こえてはいた。
俺様がどんな顔してたんだよ。
聞いてみたかったが、野薔薇が微笑むので聞かなかったことにした。
「そうか」
横になったまま腕を広げる野薔薇。
体重をかけないように覆いかぶさり、そっと抱き締めると髪にふわりと触れられた。
小さな手。
ずっと守ってやりたい。
笑わせてやりたい。
幸せにしてやりたい。
前に守ってやると言った時は、顔を精一杯歪めて、やめてよ、そういうの嫌い。自分くらい自分で守れるから、と言われた。
なんなら私が守ってあげる、と言った野薔薇の視線の先には、以前背負い投げた元マネージャーがいて、苦笑してしまった。
タフな奴だ。