第4章 どこにも行かないで
やっと病室に戻ってくると、脚が疲れていた。
さすると景吾も脚を撫でてくれた。
「で、俺様を見つけたって、どういう意味だ?」
「んー…そのままの意味」
「いつだ?入学式か?」
「ううん、入学式の時は何も思わなかったの。なんか派手な人だなーってくらい」
「おい…」
「見つけたって感じたのはテニスをする景吾を見たとき。みんな脚を止めて景吾のテニスに魅入ってた。私もそうだったけど、あ、見つけたって思ったの」
「ほう」
「だから、私が先に景吾を見つけたんだよ」
説明にならない説明をすると、景吾はふわりと笑って私の頭を撫でた。
あの時は恋だと思わなかった。ただ、何か欲しいものを見つけた時の気持ちだった。