第2章 眩しすぎるもの
俺は杏を探すため、自室を出た。
昨日は春日城城下町の地形や町の様子を窺うために出かけていたのだが、そこからわかったことがいくつかある。
町は賑わっているが…
安土城城下町に比べわずかだが品数が少ない。
時々だが、町人たちの会話から漏れる『戦』という言葉
そして何より、
その話をしている時の不安げな表情とその直後に見せるわずかに安心した顔。
後…気になる店が1つ。
まだ俺の憶測だが…
俺にとっては好都合であるに違いない。
…まあ、要するにだ
ここ、春日山は戦の準備をしているのは間違いないだろう。
恐らく…あの噂もまだ確信ではないが、真実である可能性が高い。
…後、不穏な空気が流れている今は下手に動くことはできないということだ。
特に俺1人ではな。
この敏感になっている町に俺1人で行くよりも
純粋無垢な杏を連れていくことに大いに意味がある。
無邪気さは人の心を打つ。
…別に俺1人で動いたとしてもヘマはしないぞ?
念には念を…というやつだ。
しかし、杏を町に連れていく理由はもう1つある。
最近怒らせてばかりで
杏の笑顔を見れていない――――――