第5章 M×A for MJbirthday
-4years later-
M side
「「乾杯っ!」」
気の利いたフレンチレストランで、シャンパン…は高すぎたから、
スパークリングワインが入ったフルートグラスを
チン、って音を立てて乾杯する。
目の前には、
俺の服を着てなかなか洒落てる、雅紀。
「先生誕生日おめでとう」
ふふって笑いながら、
雅紀が目元を拭う。
「何?もう泣いてんの?一応、主役俺だよ、今日(笑)」
「な、泣いてないし!…ちょっと、ウルっと来ただけで」
「はいはい、泣きそうなのね。」
「ちがっ「お待たせしました〜本日の前菜の白身魚のカルパッチョ相葉さん添えでーす」
大学生になってこの店でバイトをし始めた二宮が、白シャツに腰から下に下げる黒エプロンを身につけて。
ちょっとチャラくなった以外、ほとんど変わらないまま。
永遠の17歳のまま、前菜を運んできた。
「お、二宮だ。」
「ちょっにのりん先輩!」
「にのりんですが何か。」
「ってか雅紀添えって何w」
「え?俺?」
「何?相葉さん聞いて無かったの?白身魚のカルパッチョ相葉さん添えですよ、これ。」
「…ドウイウコト?」
「冗談だろw」
「とっとと、せんせーの誕生日にとって喰われろってことです。」
「二宮、鬼畜w」
「どーせまだ喰われてないんでしょ?」
「っ…!」
顔を赤く染めた雅紀はちょっと俯いて。
なんだかその姿は可憐で…
美しかった。
「相葉さんって意外と可愛いんだね。」
「ちょ、お前翔に言うぞw」
雅紀の一件を機に櫻井先生と仲良くなった俺は、
今ではお互いの惚気話を飲みながら聞かせあう仲にまでなって。
「え〜それはヤメて〜」
「…っ!」
また赤くなった雅紀を尻目に、
高校の時と何も変わらず、くふふって笑って去っていった。
「そろそろ帰る?」
「…う、ん…」
それなりに飲み食いして、雅紀に声をかけると、
…何となく歯切れの悪い答えが返ってきて。
「ちょっと俺、トイレ行ってくる」
雅紀が、席を立った。
残ったお酒を飲み干そうとグラスを持ち上げた時、店内がいきなり暗くなって。
「え?え?」
薄明かりの中、店内にサックスの音が鳴った。