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レモンスカッシュ【気象系BL】

第5章 M×A for MJbirthday


A side


ずっと欲しかった言葉。


「お前のこと…好きになれたから」



それ、好きって事ですよね?
それでいいんですよね?


先生の優しい声と言葉に、思わず涙が溢れて出して、なかなか止まらなかった。



怖くて何度も何度も聞き返した。自分でも面倒くさいヤツだって分かる。


…簡単に信じられないから。


こんな時にまで、昔の傷跡が邪魔をする。
素直に受け入れられないんだ。その言葉を鵜呑みには出来ない。


だけど、そんな俺に、先生は何度も


「好きだから、ちゃんと。」
「好きだ…。」


そんな言葉を、たくさん掛けてくれた。


それだけじゃなくて。


「今すぐじゃなくてもいい。いつか、俺のことを信じてくれたらいいから。」


真っ直ぐ、俺の瞳を見て言ってくれた。


誰とも違う。アイツらじゃない。

頭では分かるけど、でもフラッシュバックしてくる。


「あ…、あ。」
「大丈夫だから。


俺はどこにも行かない。」
「嘘だ、みんな…。みんな俺を置いていった。母さんも、親父も、みんな…。」


ニタニタと笑って俺を見るのが見える。


頭を振っても幻想は消えてくれない。


パニックになる俺に、


「俺を見ろ!」


ひときわ大きな声が病室に響く。


その声に体がびくっと震えた。


先生が俺に覆いかぶさってくる。

殴られると本能が感じて、咄嗟に体をかばった。


でも、

「雅紀…。」


ふわっと抱きしめられる。
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