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レモンスカッシュ【気象系BL】

第5章 M×A for MJbirthday


M side


突然のことに、頭はほとんど動いていなかった。

でも、身体が反射的に動いていた。

急いで荷物を纏めて、化学準備室を飛び出た。
階段を駆け下りて、

社会科準備室で櫻井先生を…



「ま、松本先生?」

「あっ櫻井先生!!ちょっと…あの、相葉がっ…!」


スゴい勢いの俺を見て、苦笑いしていた櫻井先生は、

相葉、という名前を聞いて、表情が変わった。

「相葉がどうしました?」

「通学路で倒れていたと二宮から連絡がありました。」

「え…!?」

「救急車で病院行ってるので、先生も行きますよ!?」

「わ、解りました。」

「僕は教頭先生に事情を説明してくるので、」

「じゃあ俺、車回してきますね。赤い車です。」

「はい。」




階段を飛び降りるような勢いで降りて、職員室。




「東山先生っ!」

「お~松本、どうした?」

「あの、櫻井先生のクラスの生徒が、道端で倒れてるっていうのを僕のクラスの生徒が見つけて…」

「倒れてた!?」

「はい。で、いま救急車で病院に向かっているので、僕と櫻井先生で病院に行ってきます。」

「分かった。その生徒、名前は?」

「2年の、相葉雅紀です。」

「相葉…。分かった。病院はどこだ?」

「まだ連絡きて無いので、解り次第連絡します。」


「行ってきなさい。」




教頭の東山先生を置いて、また走る。
正面玄関に回ると、



…赤い高級外車に乗った、櫻井先生。

「お、来た。乗って?」

「あ、失礼します…」


恐る恐る助手席に座る。

「二宮から連絡、来ました?」

「まだですね…」

「連絡ねーと動けないし…」




櫻井先生が少し苛立った様子で外を見る。






「…アイツ、無理しすぎなんだよな…」


「相葉、ですか?」

「あぁ…」


いつもより低めの声には、

静かな怒りが含まれていて。



「アイツいま、親いねーの」



その怒りは,
こんな事態を未然に防げなかった





櫻井先生自身に向いているのだと気づいた。



「…なんとなく、気づいてました」
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