第5章 M×A for MJbirthday
Mside
「では以上で会議は終了です」
司会の教頭先生が言うと、先生方が口々にお疲れさまでしたーと言いつつ席を立つ。
「あ、松本先生!」
声の主は二年の学年主任の…
「櫻井先生…お疲れさまです。」
「すいませんね…やはり、相葉はダメでしたか…」
今まで行われていたのは、夏休み前の成績会議。
一学期の成績を全教員で共有するのだ。
その中でも、成績が振るわないものは夏休みの補習に呼び、二学期からの授業に備える。
相葉、とは櫻井先生のクラスの生徒で、他の教科は可もなく不可もなく、なのだが…
俺の教える化学ではすこぶる悪い。
「うーん、このままだと学年末がヤバいかなぁと思いまして…」
「そうですか。では、よろしくお願いします。」
「いえいえ…って、ウチの二宮も政治経済ヤバいですから(笑)」
「まぁ二宮くん、頭は良いですから…」
「くれぐれもよろしくお願いします。」
俺は3年の理系クラスの担任をしている。
3年で必修の政治経済は、理系のヤツらには全くの無関係で…
殆ど誰も真面目にやらない。
その中でも二宮は、毎回授業で爆睡している、
と櫻井先生から聞いている。
明日の終業式で相葉に与える課題を作りつつ、定時を過ぎた職員室から徐々に人の気配が消えていくのを感じた。
「失礼しまぁす…ねー松本先生ー」
「お前まだ居たのかよ…」
コソッと職員室に入って来たのは、女子みたいな喋り方をする二宮だった。