第4章 ピックアップ御礼!
磁石の日常②
N side
楽屋じゃ、みんな翔がベタ惚れだ、なんて言う。
俺は割とポーカーフェイスだと思う。
翔のことを考えつつ、こっそりとゲームを楽しむ。
「翔ちゃんが、なんかずっとニヤニヤしてる。」
「変わったよね。翔くん。何か…優しいを超えて、顔が緩くなった。」
「翔くんねぇ…。ふふ、最近可愛いねぇ。」
みんなみんなそんなことを言う。
まぁ確かに。翔、かなりニヤけてるもんね、ずっと。
普段の真面目できっかりした雰囲気はどこへやら、楽屋じゃ甘い雰囲気をばらまいてる張本人。
楽屋でも、ずっと隣を陣取ってる。俺の横は特等席らしい。
でもね…?
本当にベタ惚れなのは、翔じゃなくて、俺のほうだ。
嫉妬もする。
家の中じゃずっとくっついていたくなる。
甘えたくなる。
かまって欲しくなる。
ずっとくっついてたくなる。
それをちゃんと翔は分かってくれていて、家の中では手を繋いでくれるし、甘えさせてくれる。
外では素直になれない分、2人っきりの時はとことん素直になりたい。
ハジメテがあんな感じだったから、もう恥ずかしさなんかないよね。
「じゃあねー。」
「お疲れ様。」
今日も2人で楽屋を出て帰る。
バタンとドアが閉まった途端に繰り広げられる会話に、俺は気づくはずもない。
「はぁ…。
あの2人、どっちも甘い雰囲気出してるけどさ…?」
「ニノの顔の方がやばいよね。」
「それに気付かれてないって思ってるとこがまたさ…?」
「「「可愛いんだよなぁ。」」」
-end-