第3章 M×O featuring 『君への想い』
M side
コンサートが近付いてくる時期。
俺はいつになくピリピリしてる。
「嵐」のコンサートを、どうしたらもっと
良いものに出来るのかという苦悩。
「嵐」の名に恥じないコンサートを
作る事へのプレッシャー。
そうしたら、
智とぶつかり合ってしまってて。
いつもはこんな事じゃ
言い争ったりしない。
これ以上ここにいれば、
もっと智を傷つけてしまいそうで。
「ちょっと休憩ね。22時から再開」
そう言い残して、リハ室を出た。
出た先にある、少し広めのスペース。
そこのソファーに沈み込んで、
大きく息を吐いた。
「何やってんだろ…。」
どうしても上手く
気持ちの整理がつけられない。
何度もため息をついてたら、
「松潤。」
「翔さん…。」
「大丈夫か?」
俺に缶コーヒーを投げて、
隣に座ってくる。
「ちょっとは落ち着いた?」
「…うん。」
「まだか。」
全部お見通しみたいで、
本当の俺の気持ちに気付く。
「俺、どうしたらいいんだろ。」
「ん?
そーだなぁ…。俺なら、謝るな。
松潤は構成とか、色んな事に
携わってくれてるじゃん?
それには本当に感謝してる。
だけど、1人で作るんじゃないじゃん?
俺たちのコンサート。
2人の言ってた事、どっちも分かる。
だから、余計にぶつかって欲しくない。
2人の意見を上手くまとめたら、
もっといいもん作れんだろ?」
コンサートは俺が。
その想いが空回りし過ぎて、
大事な事が見えてなかった。
「…謝ってくる。」
「おう。」
「ありがと、翔さん。」
礼を言って、リハ室に戻ったら
ニノの上に、覆い被さるように重なってる智。
「ちょっと松潤?」
見てられなかった。
何にもなかったみたいに、普通にしてた。
二ノとの距離、おかしいだろ。
俺ばっかりだ。
俺ばっかりが気にして、俺ばっかりが…。
「何なんだよっ!」
長い廊下をずんずん歩く。
当てなんてないけど、
とにかく遠くへ行きたかった。