第2章 O×S
O side
翔が帰ってきた、と思ったら、
いきなり寝室に直行。
手にはビデオでしか見た事が
ないような道具たち。
「翔!?」
名前を呼んだって、
不敵な笑みが返ってくるだけ。
壁に追い詰められて、やっと分かった。
「パンチがない。」って翔が言ってた
言葉の意味を。
翔も物足りなかったの…?
もっと愛し合おうって、
いつものじゃ足りなかった?
愛だけは、いつでもてんこ盛りだったよ?
大切に、大切に抱いてきた。
それでも足りないっていうなら…。
「なんで俺以外の奴と
そんな話してんだよ。
お前は俺のモンだって、
カラダに教えてやるよ。」
望み通り、満足させてやるよ。
優しい王子の仮面は、
殴り捨ててやるよ。
「智…っ。」
「何ですか?」
涙目になって、俺の方をずっと見上げてくる。
そんな顔しないで。
壊したくなる。
「これ、やだぁ…。」
「そうなんですか?」
「ぅう…っ。」
「悪い子には、お仕置きですね。」
「やっ、やだぁ。」
ベッドの上。
両手、両足全部を紐で結んで、
ベッドサイドに繋いでおいた。
体を捩る度に、紐とベッドの
軋む音が聞こえる。
「智ぃ。」
「誰に口を聞いてるんですか?」
「あぅっ。
ごめん、なさっい。」
やばい。
背中を這い上がってくるような、
感じた事のない快感。
あっ。
俺ってSだったんだ。
「…ふっ。」
「やだやだ。笑わないで。」
自分の痴態を笑われたと勘違いした翔が、
必死に首を振って否定してる。
可愛すぎるでしょ。
モジモジと、俺の眼下で揺れてる翔。
もっと愛し合うんでしょ?
覚悟してよ、翔。
俺の愛は、半端じゃーないんだから。