第19章 陸と抜き打ちと掃除*
「あれ?鍵が空いてる?ん?」
おや、陸君ご帰宅ですね。
『お邪魔してまーす!』
陸君は手をポンと叩き、私が部屋にいる状況を理解してくれたようだ。
そうです。決して不法侵入ではありません。
あくまで清掃のおばさんの仕事をしているのです。
「今日は俺だったんだね。大丈夫?汚なくなかった?」
『環君のお部屋に比べれば全然。(副音声・陸君は汚さより、赤い部屋を気にして!!)』
「あはは、環の部屋とはあまり比べて欲しくないかも。」
『そういえば陸君!机の下に写真が落ちてたよ。あっ!みてないから安心してね!』
写真?と首を傾げる陸君。
私は掃除機をかけながら机の上を指差し、陸君はそっとその写真を手にした。
「あっ!昔天兄と一緒に雪だるま作った写真だ!この間アルバム整理してる時入ってなくて、無くしたと思ったんだけど、ありがとう!」
『いえいえ!兄弟との写真?』
「うん。もみる?」
どうぞ、と写真を笑顔で渡してくる陸君。
写真とかって、アイドルの個人情報だけど……私が見てもいいものなのか?
そう言いつつも、手は写真を受け取ってしまう訳で。
好奇心には勝てないという事だね。
陸君のお兄ちゃんはどんな顔を……
『!?』
私は思わず写真を二度見した。
その写真には幼き陸君と九条天が雪だるまを楽しそうに作っている姿が写っていたのだ。
(;゜∀゜)
いや、まて!
落ち着け私。凄く似てるけど、これは他人のそら似という可能性も!
大体二人とも名字違うし!あのブリザードと兄弟な訳……「俺達双子なんだ。天にぃ今と全然変わってないでしょ?昔から優しくて格好いいんだ。」
oh………。
兄弟なんですね。
てか、優しい?それは一体誰の事だよ。
しかも双子……そろそろ私の情報量がキャパオーバーだよ。そもそもこの話トップシークレットじゃないの!?
「あっ!これ言っちゃいけなかったんだ!また一織に怒られる!」
気づくのおせぇーよ。
私的に、もう少し手前で気付いてほしかった。
一織君ドンマイ。聞いたの不可抗力。