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緋寒桜散り行く日陰。☆Free!

第4章 期待の大型新人


「西島楓ってあんなもんだったっけ?」
「手ぇ抜いてるんじゃね?遅すぎだろ。」
「大会出る気ないとかぬかしてたらしいしな。」
「期待はずれもいいところだよな。帰ろうぜ。」


続々とギャラリーが帰っていく。
私はただその様子をじっと眺めていた。


きっとこれが兄が見たくなかった景色なのだろう。


「楓。お疲れ様。泳ぎ、すごいよかったよ。」

真琴先輩がプールサイドから私に手を差し出す。

私はニコっと笑うと、真琴先輩の手を握った。
グイっと一気に引き上げられる。


「…っと!!!」
「うわぁ!?」


勢いよく引き寄せられたので
思わず真琴先輩の方へと倒れこむ形になる。


「あ、わ、悪い!思ったより軽かったから…」

真琴先輩は慌てて私を離す。


「いえ、すいません。ありがとうございます。」


「へへー♪楓ちゃんの泳ぎはやっぱりキレイだね!僕、楓ちゃんの泳ぎ大好き!」

渚が私に抱きついてくる。


「渚…。」


「周りのことなんか気にするな。お前らしくあればいい。お前は自由なんだから。」

遙先輩は相変わらずボソっと励ましてくれた。


「遙先輩…。」


竜ヶ崎はじっと私を見つめて居た。




それから鮫塚との練習は終わった。



私はさっとトイレで水着を着替えると、
慌てて更衣室の前に戻り、
みんなの着替えが終わるのを待っていた。



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