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緋寒桜散り行く日陰。☆Free!

第4章 期待の大型新人


遙先輩が合図とともに水に飛び込み、
泳ぎ出す。

その泳ぎは思わず見とれてしまうほど
キレイで自由で…

ふっと幼い日の兄を思い出した。


兄の泳ぎはいつだって私の憧れだった。
自由でおおらかで…のびのびとしていて…。


でも、いつからか
タイムにこだわるようになってから
兄の泳ぎはどんどんと


窮屈なものに変わっていった気がした。




だから、遙先輩の泳ぎを見ていると
懐かしいような…ずっと求めていたような
不思議な感覚に陥った。



あっと言う間に遙先輩は泳ぎ終わった。


「次、楓の番だぞ。」


呼ばれてはっとなり、
すぐにスタートブロックへと向かった。


周囲の視線が私に集まる。


思わず緊張から心臓がドキドキとする。


「…練習だ。好きに泳げ。」


遙先輩はボソっとそう言ってくれた。



…好きに…泳ぐ…。









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