第4章 期待の大型新人
幸い、竜ヶ崎は無事だった。
全員がほっと安心したが、
竜ヶ崎はうつむいている様子だった。
「ていうか、怜ちゃん…泳げなかったんだ。」
渚のその一言に竜ヶ崎はビクっとした。
「…そうですよ…悪いですか!?だから僕は最初から泳がないって言ったんだ!」
「そうなら、最初から言ってくれれば…。」
「言えるわけないでしょ!カナヅチだなんて!…僕の美意識に反する…。」
竜ヶ崎はぎゅっと拳を強く握った。
…なんて言葉をかけていいやら…。
でも、竜ヶ崎はすごいな。
カナヅチってわかっているのに、
あんな豪快に飛び込んで…。
泳ごうって頑張ったんだ。
すごい勇気だなぁ。
私は竜ヶ崎の肩に手を触れた。
「竜ヶ崎はすごいよ。」
「そんな慰めいりません!」
私のその一言にキっと竜ヶ崎は私をにらみつけた。
「いや、同情とか、慰めじゃなくて…すごい。尊敬する。…僕、がんばるよ。」
私がそういうと、竜ヶ崎は不思議そうな顔をした。
「ほら、ハルが泳ぐよ。」
真琴先輩のその声に私と竜ヶ崎は
プールの方へ視線を向けた。