第3章 共同作業。
ズンズンと私に近づいてくる遙先輩。
そして私の肩をがっちりと掴んだ。
「へ!?遙先輩!?」
そして、次第にどんどん遙先輩の顔が近づいてくる。
へ!?
なにこれ!?
も、も、もしかして…
キ、キス!?
え!?何の前触れもなくするもん!?
鼻先が触れそうなぐらい顔が近づく。
私は思わず目を強くつむった。
"ッゴ"
…あれ?
「…やっぱり。熱がある。」
触れたのは唇ではなくオデコとオデコだった。
「ね…つ…?」
「あぁ。お前今日、熱あるのに無理してただろ。ずっと顔色が悪いと思ってた。体調が悪いときは隠さずに言え。」
そういうと、遙先輩はゴソゴソとバックのなかから何かを取り出した。
「ほら、これやる。」
その手にはスポーツ飲料が握られていた。
「あ…ありがとうございます。」
私がスポーツ飲料を受け取ると
遙先輩は満足したのか再び校門の方へ歩き始めた。
私は自分のオデコに手を当てた。
確かに熱かった。
でも、これは多分、
風邪の熱じゃなくて…
ドキドキした熱だと思った。
…兎に角…バレなくて…よかった。