第3章 共同作業。
「おじゃましまーす。」
思わずキョロキョロと部屋の中を見回してしまう。
とってもシンプルな家だった。
「まぁ、座って。ハルがサバ焼いてくれるらしいから!」
橘先輩はそういうと私の方へ座布団を渡してくれた。
「あ。ありがとうございます。」
七瀬先輩の方をチラっと見ると、
早速エプロンを着て、台所に立っていた。
「ねぇねぇ、楓ちゃん。ちょっと聞きたい事があるんだけど…」
葉月くんが私の隣に座り、
上目遣いで顔を覗き込んできた。
「なんだよ?」
すぅっと深呼吸をし、
葉月くんはこちらをじっと見つめた。
「楓ちゃんってさ…本当に男?」
その葉月くんの問いかけに空気が凍った。
「ちょ!渚!何言ってるんだよ!テレビで何回も水着姿見たろ!」
慌てて橘先輩がフォローを入れる。
「えー!でもぉ!楓ちゃんなんか可愛いし!だって、今日の楓ちゃんの笑顔!二人ともドキドキしたんでしょ!?」
"ガチャンッ"
葉月くんのその発言に動揺したのか
七瀬先輩はコンロから焼き魚用の網を落とした。
「わぁ!?七瀬先輩大丈夫ですか!?」
慌てて私は駆け寄り、
落ちた網を拾おうと手を伸ばす。
が、同じタイミングで手を伸ばした七瀬先輩の手に触れてしまった。
「…っ!!!////」