• テキストサイズ

緋寒桜散り行く日陰。☆Free!

第2章 泳ぐのは『好き』ですか?


「えーっと…とりあえず、渚がなんかしちゃったならごめんね。俺は2年の橘真琴。で、こっちが同じく2年の七瀬遙。よろしくね。西島くん。」


そう言って橘先輩は優しく笑って手を差し出してきた。


「あ、どうも。」

私はその手を握り、握手を交わした。


「いやー、でもなんか嬉しいなぁ。俺たちにとって君って憧れの存在だったから…本物を見れるとは思わなかったよ!なぁ、ハル!」

「俺はそいつ、嫌いだ。」


「へ?」


思わずその七瀬先輩の発言にその場の空気が凍った。
そして睨みつける様な視線が刺さった。


「ちょっと、ハル!何言ってんだよ!」
橘先輩は慌てて七瀬先輩の方へ駆け寄る。


「そいつは"泳ぐのが嫌い"だから水泳やめたんだろ。泳ぐの嫌いな奴と一緒に泳ぎたくは無い。」

「ハルー!」
「ハルちゃん!」

橘先輩と葉月くんは慌てている様子だった。


「別にっ!"泳ぐのが嫌い"で辞めたんじゃねぇよ!"泳ぐのは好き"だよ!…ただ…水泳って言う"競技"が嫌いなだけで…」

思わず自分の発言にはっと口を押さえる。


3人の目線が私に刺さる。


「ほら…競技になったら競わなきゃいけないだろ?…好きなことで競う事を強いられるのが…苦痛だったんだ。だから、僕は水泳部には入らない。"水泳"はしないんだ。」


私がそう言うと
3人は黙り込んでしまった。




/ 73ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp