第2章 泳ぐのは『好き』ですか?
「じゃっじゃじゃーん!なんと!我が校にあの伝説の水泳選手!西島楓くんが転校して来ましたぁ!はい!拍手ぅー!!!」
葉月くんはそういうと、
私を前面に押し出し、自慢でもするかのようにドヤ顔をして見せた。
先輩二人は言われるまま拍手をしていた。
「…で?」
黒髪の先輩がやる気の無い拍手をしながら
葉月くんの方を無表情のまま見つめた。
「うぅ。ハルちゃんは鈍いなぁ!だぁーかぁーらぁー!水泳部っ!これで作れるよね!?」
葉月くんは目を輝かせながらそう言った。
「あぁ。そうか!部活設立規定人数の4人を達成できるのか!」
茶髪の先輩はニコニコと笑った。
その声に黒髪の先輩ははっと顔を上げた。
その顔は心なしか嬉しそうだった。
…なんか可愛いな。この先輩…。
って、それはいかん!
「はぁ!?ちょっと待て!僕は水泳部には入るつもりはないぞ!」
私は慌てて葉月くんの腕を掴んだ。
「えぇ!?なんでぇ!?さっきは入るって言ってくれたじゃん!」
「はぁ!?それはお前が変な脅しをかけて来たからで!」
「え?僕そんな事したっけ?」
「とぼけるな!この腹黒男っ!!!」
「まぁ、まぁ、落ち着いて!」
私たちが言い合いをしていると、
慌てて茶髪の先輩が間に入ってきた。